高齢者は積極的に血圧を下げる必要はない。
逆に血圧を下げると悪影響がでてしまうという説があります。
2011(平成23)年の厚生労働省のデータでは、
高血圧性疾患が約900万人です。
1996(平成8)年にはそれぞれ約750万人でしたので、
この15年の間で150万人もの高血圧の患者さんが増えています。
患者さんが、目立って増えているのは働き盛りの世代ではなく、
65歳以上の高齢者です。
これは、平均寿命が長くなって多くの高齢者が高血圧と診断されるように
なったことが主な原因といわれています。
また、高血圧の診断基準が厳しくなったのも’患者’が増えている要因の
一つとも言えます。
ホルモンのバランスの変化や、血液中のコレステロールの増加などの
影響もありますが、大きな原因は血管自体の老化といわれています。
年を得るごとに水分量がへり、肌のしなやかさが失われるように、
体内の器官もしなやかさを失います。
血管もその一つです。これは自然現象であり、病気ではありません。
血管がしなやかさを失い、硬化してしまった結果、
身体に必要な血液を循環させようとする結果、強い圧力が必要になり、
血圧が上がります。
これも病気ではなく、自然の摂理です。
強制的に血圧を下げることにより、必要な血液が身体に
廻らなくなってしまいます。
脳への血液量が少なくなってしまうと、痴呆症が進むと言われます。
また、身近なところでは冷え性なったり、免疫力が低下してしまい、
他の病気にかかり易くなってしまうという説もあります。
このような背景から、高齢者の高血圧の管理をどうするのかが
大きな問題となっています。
現在の「正常値」は、おおむね健康と思われる成人(比較的若い人)の
データを集めてきて、95%の人があてはまる数値を
「正常」としている場合が多いです。
しかし、高齢化が急速に進んだなかで、高齢者や超高齢者の
「正常」データが必要ですが、この基準があいまいです。
そもそも、健康な高齢者を探すのが一苦労で、いまだに高齢者の正常値が
はっきりしていません。
そういうわけで、仕方なく、若い人と同じようなデータを
当てはめて診断をしています。
では、高齢者が高血圧と診断された場合はどう対処したらよいのでしょうか。
まずは、若い人と同じ投薬などの治療を行い、身体に不調をきたした場合は、
一旦、薬を減薬や中止にした方が良いという考え方もあります。
また、失礼ながら高齢者は先の期間も短いため、心筋梗塞や脳梗塞などへの
リスクも少ないと考えれば、積極的な治療は不要との考え方もあります。
いずれにしましても、素人で判断するのではなく、主治医と相談しながら、
対処していきましょう。
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