高血圧の治療を遠隔診断するという実証研究が行われています。
実証研究を行うのは、ITベンチャー企業の「ポート」と東京女子医大です。
「IoT」(*)の流れがついに、高血圧治療までやってきたという感じです。
(*)Internet of Things=モノのインターネット化のことです。
様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信すること)
遠隔診断が、現在の対面型の診療と比べ、より良い血圧コントロールができるか、医療の経済効率的に貢献できるかが注目されています。
・待ち時間がもったいない
・日常の血圧測定のデータ化
高血圧はサイレントキラーといって、自覚症状はないですが、そのまま放置すると心筋梗塞、脳卒中など、生命に関わる重大な結果となるケースもあります。
日本の高血圧人口は約4300万人と推定されていますが、このうち約半数は治療を受けていません。
理由としては、仕事の関係で病院へ行く時間がない。または、病院へ行っても待ち時間が長く、長時間拘束されるのが嫌ということです。
患者としては、自覚症状が無いので、どうしても億劫になってしまうのでしょう。
これが、自宅に居ながら遠隔で診断できるとなると、時間がない、待ち時間が長いという問題が解消されます。
一方、血圧の診断は病院で計測する血圧だけでなく、日常の血圧測定が大切です。
血圧は1日の中でも変動しますし、病院ですと緊張して、通常より血圧が高くある「白衣高血圧症」になる場合もあるからです。
これも遠隔診断することで、日常の血圧測定が診断に生かすことができます。
では、具体的に高血圧の遠隔診断はどのようにするのでしょうか。
患者はブルートゥースという近距離無線通信の仕組みで接続された家庭用血圧計を使って自宅で週3回以上血圧を測定します。
この血圧データをスマートフォンの専用アプリに転送して管理します。
病院では定期的にアプリで管理されたデータを参照して治療方針を決定し、患者とはテレビ電話やチャットで診察して、薬を処方します。
薬は院内処方で、患者の自宅まで郵送されるという至れり尽くせりです。
インターネット環境はスマートフォンがあればOKという感じです。
研究となる患者さんは東京女子医大病院高血圧・内分泌内科を定期的に受診中または受診する意思がある方で、遠隔診療を希望する人です。
但し、冠動脈疾患の既往があったり、糖尿病や慢性腎臓病などに罹患(りかん)していたりする患者は参加できないという条件があります。
研究の結果、血圧のコントロールができて、経済的な負担も少ないと判断されたら(たぶん、効果ありとの結論となると思いますが)、高血圧の治療は遠隔診断が主流になるのかもしれません。
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