遠隔診療の技術の進歩は目を見張るものがありますが、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の遠隔診療について、厚生労働省が中央社会保険医療協議会へ提案をしました。
この記事の目次
厚生労働省の遠隔治療に関する提案
2017年12月1日、厚生労働省保険局が高血圧などの生活習慣の遠隔治療について、中央社会保険医療協議会への提案の内容は以下の通りです。
通院事情について
初期の生活習慣病で定期的な健康診断などから医師から指示されたにもかかわらず、仕事の関係から通院が難しい方、又は在宅療養が長いため通院が困難な患者さんへの遠隔診療の必要性を認めています。
原則は対面診療
遠隔診療の必要性は認めていますが、原則は対面診療で、計画的な診察であることなどの要件を課すます。
診療点数について
診療点数は気になりますよね、実際に支払うお金に直結しますから。
オンライン診察の診療点数は対面診療よりも低く設定しますが、現在の電話相談などの再診とは個別に新たな再診料点数を設けます。
インターネットを活用した、いわゆる“オンライン診療”について、現時点では電話等による再診時の再診料を算定しています。
オンライン診療の再診料については、現行の対面診療と、電話等再診の中間に位置する点数を新設する考えです。
但し、患者の安全性などを考慮して、診療報酬点数を算定する場合の要件を以下の通りに示しています。
◆特定された疾患・患者である
◆一定期間継続的に対面診療を行っており、受診間隔が長すぎない
◆急変時に円滑に対面診療ができる体制がある
◆安全性や有効性のエビデンスが確認されている
◆事前に治療計画を策定している
◆医師と患者の両者の同意がある
◆ルールに則った診療が行われている
今後の課題は診療報酬で算定できる医療機器、アプリの要件のなどのIT関連の明確化です。
地域包括医療との関連
地域包括医療とは
日本は、諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しています。
65歳以上の人口は、現在3,000万人を超えており(国民の約4人に1人)、2042年の約3,900万人でピークを迎え、その後も、75歳以上の人口割合は増加し続けることが予想されています。
このような状況の中、団塊の世代(約800万人)が75歳以上となる2025年(平成37年)以降は、国民の医療や介護の需要が、さらに増加することが見込まれています。
このため、厚生労働省においては、2025年(平成37年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。厚生労働省ホームページより。
地域包括医療の普及と遠隔診療。一見すると相反するこの棲み分けが必要になります。
処方薬局の一元管理や「地域包括診療料」と「オンライン診療料」の点数も今後の課題になります。
高齢化社会が進むとともに増えてくる生活習慣病。コストと利便性と安全性の見極めが重要になってきます。
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