年間の売上高はARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)に
抜かれましたが、使用量が現在でも最も多い降圧剤です。
売上高と使用量が逆転するのは、一錠当たりの価格の差です。
カルシウム拮抗剤が15円~100円ですが、
ARBは40円~250円と高いためです。
カルシウム拮抗剤が日本に導入されたのは、1974年です。
比較的早い段階に使用された降圧剤です。
カルシウム拮抗剤は血管の平滑筋に作用し、
血管を拡張させることにより、血圧を下げる薬です。
具体的な作用の流れをみてみましょう。
まず、血管の平滑筋の収縮にはカルシウムが大きく関係します。
血管が収縮するためには、細胞の外側から内側へカルシウムイオンが
入る必要があります。
カルシウムが出入りする細胞の表面の穴を、
カルシウムチャネルといいます。
カルシウム拮抗剤はこのカルシウムチャネルに蓋をして、
カルシウムが細胞の内側に入ることを、妨害することします。
すると、平滑筋は伸縮せずに、拡張しますので血圧が下がります。
したがって、本来の名称は「カルシウムチャネル拮抗剤」とか、
「カルシウムイオン流入抑制薬」の方が相応しいと思いますが、
便宜的に「カルシウム拮抗剤」で落ち着いたものと思います。
比較的長期に使用され、極端な副作用は無いと言われている降圧剤です。
よく聞くのは、グレープフルーツジュースと一緒に服用すると、
血圧が下がり過ぎるということです。
原因はグレープフルーツが持っているが持つ阻害作用にあります。
仕組みは複雑ですので、知識として覚えておく程度でいいでしょう。
また、その他に便秘やむくみがあります。
しかし、本当に怖いのは、カルシウムイオンの流入を全て妨害する、
ということです。
当然のことながら血管の収縮に関係する平滑筋にだけ、
カルシウムイオンを妨害するという複雑な機能はありません。
全ての細胞においては、カルシムチャネルが必要です。
それが、妨害されるということは、本来の細胞が持っている機能が
全うできないことになります。
中でも最も深刻なのが、免疫細胞が正常に機能しないこと恐れが
あることです。
その結果、ガンの発症率が高くなり、生存率が下がるという危険性も
指摘されています。
ACE阻害薬のように空咳などの分かりやすい副作用はないですが、
漫然と長期的な使用には気を付けたい降圧剤です。
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