高血圧の予防と治療の基本は減塩です。
食事の時などで良く噛むことによって、減塩効果があるという研究があります。
あなたはよく噛んでいますか?
塩分の取り過ぎによる健康への影響にについては、年々厳しくなっています。
塩分の取り過ぎは血圧を上げるだけでなく、食塩に含まれるナトリウムが骨を溶かしてしまうため、骨粗しょう症の原因になったり、過剰なナトリウムを排出するため、腎臓疾患の原因にもなります。
その他にも、健康への影響はありますが、やっぱり一番怖く、影響が出やすいのは血圧の上昇ですね。
そんな中で、厚生労働省は栄養素などの1日の摂取量の目安を示す食事摂取基準を作成して、5年ごとに改訂しています。
食塩については、2015年4月からの新基準で18歳以上の青年男性で1日当たり8グラム、女性で同7グラムとしました。
これまでの従来基準より、みそ汁半杯から1杯強に含まれる塩分量を減らしたことになります。
13年に世界保健機関(WHO)が25年までに男女ともに5グラム未満とする目標値を公表しています。国際的にも目標値を6グラム未満としている国が多く、実は日本は世界的に見て、減塩についての考え方が緩いため、一段の減塩方針を強めています。
日本が減塩に甘いのはお味噌汁や漬物など、塩分の多い、食文化の違いかもしれません。
では、なぜよく噛むことが減塩につながるのでしょうか?
東京女子医科大学の渡辺尚彦准教授はよくかんで食べる必要がある食事を取り入れるよう指導しています。
◆薄味でも大丈夫
「かみごたえのある食べ物なら薄味でもおいしく食べられる」からです。よくかまなくてはならない食べ物はかむ時間が長くなるため、口の中に味が行き渡ります。したがって、薄味でも味を感じやすくなり、毎日続けやすくなるといいます。
実際、高血圧の患者に、シリアルとドライフルーツが混ざったグラノーラを1日1食取り入れた実験を行いました。
グラノーラに含まれる食塩は1食約0.2グラムです。また、よくかまないと飲み込みにくいため、自然と良く噛むことになります。
50代のある女性のケースでは、1日1食をグラノーラ食にすると食べ始めてから数週間で血圧は144から137まで下がった実績があります。
1日1食だけでも塩分を減らせると、一日の食事の1/3ですから1日分の摂取量をかなり抑えられることになります。
◆ドライマウスの防止
ドライマウスになりますと口の中が乾くため、味覚が衰えると言います。
その味覚の衰えが、薄味を我慢できないため、減塩を難しくしている可能性があります。
しかし、実験により良く噛むことにより、唾液が出やすくなり、口の渇きが和らぎます。
口の中の渇きが軽減するだけでも薄味でもおいしく食事ができるため、結果的に減塩につながる可能性があります。
また、良く噛みますと食事の時間が長くなるため、少ない食事量で満腹感が得られ、食べ過ぎの防止にもなりますので、高血圧の人にとっては一石二鳥です。
今日からでも良く噛んでおいしく減塩生活をしてみましょう。
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