高血圧治療のワクチンの開発

降圧剤を飲んでいる方には朗報です。
開発中の高血圧ワクチンが実用化に向けて、また前進です。

大阪大学の研究グループが、米国心臓協会が発行する高血圧症の
専門誌ハイパーテンションのオンライン版へ、
2015年5月26日に報告しました。

 

ワクチンの仕組み

 

・高血圧ホルモンに作用

研究グループが開発したのは「DNAワクチン」と呼ばれるタイプです。
アンジオテンシン2という血圧を上げるホルモンに作用する薬です。

アンジオテンシン2というと、既にアンジオテンシン2受容体拮抗薬(ARB)や、
ACE阻害薬という薬が、日本でも広く使われています。

アンジオテンシン2の働くを簡単に説明すると、まず血管が縮みます。
血管が縮み狭くなることにより血圧が上がることになります。

ARBACE阻害薬はアンジオテンシン2が作成されないように邪魔する薬です。
一方、開発中にDNAワクチンは、アンジオテンシン2を無力化してしまおうという発想です。

・体の抗体で無力化

1. 抗原となるタンパク質を入れる
ワクチンの具体的な中身は「プラスミド・ベクター」というDNAの輪が運び屋として働きます。

このDNAの中にB型肝炎ウイルスの部品となるタンパク質とアンジオテンシン2の
タンパク質の二つの情報を組み込みます。

2. 体内でタンパク質が増える
このワクチンが、体の中に入ると、B型肝炎ウイルスとアンジオテンシン2が
つながったタンパク質が増えてきます。

3. 抗体が無力化する
体はこのタンパク質を異物と認識し、アンジオテンシン2をターゲットにした免疫を発動します。

体の中に元からあるアンジオテンシン2を無力化する抗体が異物と認識して、
排除や動きを止めようとします。

結果、血圧を上げるホルモンであるアンジオテンシン2が効かなくなります

無力化

 

実験の結果

 

高血圧DNAワクチンを高血圧ラットに2週間隔で3回、無針注射器を使って接種しました。

その結果、最長6カ月間血圧の低下が認められるとともに、
高血圧に関連する心血管組織の損傷も軽減が確認できています。

さらに、高血圧ワクチンが肝や腎など他臓器を損傷することはありませんでした。

 

ワクチンのメリット

 

OK

このワクチンは以下の理由で降圧剤としては革新的な成果と考えられています。

・降圧剤の効果が6か月以上持続する。
・既存のARBACE阻害薬より薬価が低く抑えることができる。

降圧剤の飲み忘れや経済的な問題は高血圧の人にとっては、
軽い問題ではありません。

早い実現化が望まれます。

【追加情報 2017.1.12】

高血圧治療のワクチンの臨床試験(治験)については、大阪大学の研究チームとバイオベンチャー企業のアンジェスMGが2017年からオーストラリアで開始すると発表しました。

実験の結果によって、早ければ5年以内に実用化が見込まれます。

但し、高血圧の原因は様々であり、このワクチンが全ての高血圧に効果があるというわけではないようです。

また、一度、ワクチンを打つと6ヶ月という長い期間に効果があるということは、症状を見ながらの調整ができるかということも疑問です。

万能薬というものはありえませんので、このワクチンもいいことばかりではなく課題も多そうです。



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